救急看護認定看護師が訪問看護でできる事

私は医療短期大学を卒業してから20数年、外科系の看護を経験してきました。
当初はICUなどの特殊な環境に入っただけで卒倒しそうだった私も、血をみるとアドレナリンが出て、動きが素早くなるタイプへと変身していきました。

そんな救急大好き、急変すぐ対応します!なんて看護師が正反対の在宅医療の訪問看護に飛び込みました。
なぜ、方針転換したのでしょうか?
また、救急看護は訪問看護で役に立つのでしょうか?

日々の救急看護で感じていたこと

看護師も得意分野といいますか専門分野というのがありまして…
私の専門分野は救急看護です。
卒業以来、ほぼ外科系病棟で看護を経験し、救急看護認定看護師の資格まで取得してしまいました。

急性期の看護のだいご味は、治療が奏功し看護ケアの効果が目に見えるなどダイナミックに経過することだと思います。
そのような面でとてもやりがいを感じ、情熱をもって勤務していきました。

しかし、治療がうまくいかずあきらめざるを得ないケースも多く体験してきました。
看護師としてそのような患者に何が提供できるのか日々考えるのですが、忙しい業務の中で浮かんでは消えの繰り返しでした。

救急看護師を続けていると、患者が望んでいないであろう治療に対して積極的に医療が提供される場面を経験します。

挿管され意識のない患者さんの思いはわかりませんが、時に積極的に行われる治療は…
これで良いのだろうか?
患者は喜んでいるのだろうか?
誰のための治療なのか?
と感じざるを得いないことが多々あります。

「枯れるようになくなる」

そのような時に、訪問看護師さんのツィートが心に”グサリ”と刺さりました。

その一言は、「在宅の患者さんは枯れるようになくなる」

急性期畑で育ってきた私としてはすごい衝撃をうけました。
枯れるように亡くなるとは人間本来の最期の迎え方として的を得ているように感じたのです。

急性期を病院で過ごし治療の甲斐もなく・・・という場合の多くは、点滴が複数本入っており、尿の管、挿管チューブ、時にはドレーンが挿入されています。

身動きも取れず、尿がでなく点滴でむくんだ身体にたくさんの採血のあと、皮下出血班、スキンテア
ムクムクになった前身は高齢者でもシワがないほどむくんでいることが多いです。

この「枯れるよう」とは真逆で「溺れたよう」の表現が当てはまります。

人間の最期の迎え方として、どちらの方が「人間らしく」といえるでしょうか?

在宅で救急看護師ができることとは

本来なら救急看護師は救命センターや救急外来、ICUなどに配属され専門知識が技術を看護の場面に提供していく存在なのですが、はたして救急看護師が在宅で活躍できる場面はあるのでしょうか?

世の中の医療の流れは確実に病院から在宅医療に向かっています。

在宅医療では多くの患者さんが、疾患を抱えたまま住み慣れた環境で治療を継続していきますので、時には体調を崩すこともあります。
このような時に救急看護師の得意な、情報収集能力とアセスメント力が生かされるはずです。

現在の患者さんの状況で様子を見ることができるのか、または一刻も早く救急車を呼ぶべきなのか。
心配なご家族様の精神的なフォローをしつつ対処することができるはずです。

また救急看護師は病院での看護で常に先を読んで行動しています。
救急外来では一刻を争う処置や観察が必要で、医師の行動を予測し事前に準備し治療がスムーズに行えるよう援助するように訓練されています。
その能力は在宅医療でも十分生かすことができ、患者さんがこのような状況だから…次はこうなりそうで…何々が必要、こうなったら病院に連絡…
先を見越したアドバイスや観察項目をご家族にお伝えすることができます。

そして救急外来では幅広い患者さんが対象ということもあり、様々なケア・診療補助を経験しています。
それにより、1人で対応しなかればならないオンコールに対しても自信をもって看護提供できます。またステーションに救急看護認定看護師がいることで、患者さんの状態を報告・相談できる24時間体制が患者さん・ご家族に安心感を与えるはずです。

まとめ

救急を長い間やってきた看護師として、たくさんの患者さんのドラマを見てきました。
今思う事は、救急看護は患者さんにとって人生での一場面か、最期の場面のどちらかであるということです。
回復期や慢性期は経験することは少ないと思います。
前述でもありましたが、今後の医療の流れは急性期医療の先をどのようにするかに焦点が当てられています。

そのようなニーズのなかで救急看護師が在宅医療・看護で活躍できる場面はありますし望まれていると思います。

救急看護と在宅医療は正反対と書きましたが、
救急看護の先に在宅医療があり、在宅医療の中にも救急看護が組み合わさっていると思います。
肝心なのは、患者さん・ご利用者さんへ看護をシームレスに提供していく体制を整えていくことだと思います。

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